めっちゃカメレオンは、見るからに軽そうなゲームです。 Steamの公式ページに載っている動作環境も「Windows 10 64bit、Core i5、DirectX 11か12に対応したグラフィックカード」だけで、推奨構成の欄はそもそも用意されていません。 790円のインディーゲームですから、手持ちのPCで気軽に動くだろうと考えるのが自然です。 ところが実際に計測してみると、平均fpsは出ているのに映像がなめらかにならない、という妙な結果になりました。
「めっちゃカメレオン 推奨スペック」で検索すると、記事はいくらでも出てきます。 必要なグラフィックカードの名前も、期待できるfpsの数字も、丁寧な表になって並んでいます。 ただ、それらのページをたどっていくと、どれも実際に計測したものではありませんでした。 ゲームのタイトルとハードウェアの型番から数値を自動生成しているサイトばかりで、計測環境も、使ったツールも、測った日付も書かれていません。
当サイトは、この種の自動生成された推定値を判定に使わない方針を取っています。 数字の出どころをたどれないものは、正しいかどうかを誰にも確かめられないからです。 そして今回のタイトルについては、許可している計測メディア(TechSpotやComputerBase、ちもろぐなど)にも、計測記事は一本もありませんでした。
誰も測っていないのであれば、自分で測るしかありません。
計測に使ったのは、2017年から2018年ごろの構成のPCです。
ゲーム側の設定は、解像度1920x1080、影の品質からアンチエイリアスまで全項目を「高」、垂直同期はオフ、フレームレート上限は解除しました。 計測ツールはCapFrameXで、実際の対戦中に60秒ずつ、合計5回記録しています。 メニュー画面や待機中は含めていません。
PenguinHotel-Win64-Shipping.exe です。
Unreal Engine製で、計測ツールのゲーム一覧にも「Chameleon」では登録されていないため、最初は計測対象として認識されませんでした。
同じところで詰まる方がいるかもしれないので、記録として残しておきます。| 回 | 平均fps | 1% low | 0.1% low | GPU使用率(平均) | CPU使用率(平均) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 152.7 | 60.3 | 29.3 | 91% | 48% |
| 2回目 | 140.3 | 68.5 | 48.6 | 94% | 44% |
| 3回目 | 131.7 | 41.3 | 34.4 | 88% | 48% |
| 4回目 | 139.7 | 42.6 | 36.8 | 86% | 52% |
| 5回目 | 134.4 | 40.8 | 33.9 | 80% | 52% |
| 5回の平均 | 139.8 | 50.7 | 36.6 | 88% | 49% |
※1回目には439ミリ秒かかったフレームが1つ含まれています(画面が0.4秒止まったということです)。ゲームを起動して最初の計測だったため、シェーダーの初回処理や読み込みが原因と考えられます。2回目以降は再現せず、最も遅いフレームでも42ミリ秒でした。
平均fpsだけを見れば、139.8fpsという数字は悪くありません。 60Hzのモニターなら余裕ですし、144Hzのモニターでも「ほぼ届いている」と言える水準です。
問題は1% lowのほうです。 1% lowは、計測した全フレームのうち特に遅かった1%がどのくらいだったかを示す数値で、実際の体感に近いとされています。 平均fpsが高くても1% lowが低ければ、プレイ中は「ときどきガクッとくる」感覚になります。
今回の1% lowは50.7fpsでした。 平均の約3分の1です。 比較のために、同じPCで計測した別のゲームの数字を出しておきます。
| ゲーム | 平均fps | 1% low | 1% low ÷ 平均 |
|---|---|---|---|
| シージX(WQHD・低設定) | 126.2 | 95.0 | 0.75 |
| めっちゃカメレオン(フルHD・高設定) | 139.8 | 50.7 | 0.36 |
シージXでは平均の75%まで保たれていた下限が、今回は36%まで落ちています。 平均fpsで比べれば、めっちゃカメレオンのほうがむしろ高い数字が出ています。 それでも、なめらかさで言えば逆転しているということです。
当サイトの判定は平均fpsを基準にしていますが、目標fpsちょうどの構成ではなく、余裕を持たせた構成を下限にしています。 ぎりぎりの構成では、こうした落ち込みが出たときに目標を割るからです。 判定が済んでいるタイトルについては、遊びたいゲームと目標fpsから必要な構成を逆算できます。
fpsが伸び悩む原因は、普通ならGPUかCPUのどちらかが限界まで働いていることにあります。 実際、先ほど比較に出したシージXの計測では、GPU使用率が99%に張り付き、GPU温度は81℃まで上がっていました。 グラフィックカードが全力を出し切っていて、それ以上は出せない状態です。
ところが今回は、GPU使用率が80%から94%のあいだで、100%には届いていません。 CPUのほうはさらに余裕があり、全体で44%から52%、いちばん忙しいコアだけを見ても57%から66%でした。 どちらも上限に達していないのに、fpsは揺れています。
この形は、グラフィックカードの性能が足りないときに出る形とは違います。 計算する力そのものではなく、フレームを一定の間隔で出し続けるところで何かが引っかかっている、という見え方です。
Steamのコミュニティには「GPU温度が105℃まで上がった」という投稿があります。 気になったので温度も記録しましたが、今回の計測では最大84℃、平均で82℃でした。 少なくともRTX 2070では再現していません。
ただ、その投稿が言いたかったことは分かる気がします。 このゲームは見た目の素朴さに反して、GPUを9割前後で回し続けます。 軽いゲームのつもりで起動して、冷却に余裕のないPCで長時間遊べば、温度は上がっていくはずです。
GPUもCPUも余っているのに、なぜフレームが揺れるのか。 この理由は、今回のデータだけでは断定できません。
考えられる方向はいくつかあります。 ゲームエンジン側の処理(シェーダーの生成や、データの読み込み)が引っかかっている可能性もあれば、この構成に固有の事情である可能性も残ります。 1台のPCで測っただけで「ゲーム側の問題だ」と言い切ってしまうのは、実測を看板にしているサイトとして踏み込みすぎです。
そこで、CPUとGPUを大きく強化した別の構成(Ryzen 7 9800X3D、RTX 4080 SUPER)で、同じ条件をもう一度計測する予定です。 そこで1% lowが素直に改善するなら、単純に性能が足りていなかったという話になります。 改善しないなら、PCを買い替えても解決しない種類の問題だという話になります。 結果が出たら、この記事に追記します。
めっちゃカメレオン自体の必要構成は、この記事の時点ではまだ出せません。 「この構成なら足ります」と言うには、性能帯の違う複数のPCで測る必要があるためです。
すでに判定が済んでいるタイトルであれば、遊びたいゲームと目標fps、解像度を選ぶだけで、必要な構成と実売のBTOまで逆算できます。 シージXやApex Legends、GTA5、FF14など16タイトルに対応しています。
→ 遊びたいゲームから、必要なPCを逆算する