2026年の最適化アップデートで、本当に軽くなったのか。8年前の構成で13回測りました。
ゲームが重いときは、まず画質を下げる。 誰でも思いつく対処ですし、たいていはそれで足ります。 モンスターハンターワイルズを2018年ごろの構成で測ってみたところ、その対処がほとんど効きませんでした。 「ウルトラ」から「高」へ一段下げて、増えたのは1.7fpsです。
ワイルズは2025年2月の発売当時、「重い」と言われたタイトルです。 ただ、その評判は今のワイルズのものではありません。 2026年1月28日と2月18日に最適化のアップデートが入り、2月のものが最終アップデートになりました。 公式のベンチマークソフトも、描画性能が改善したことを理由に配信を終えています。
つまり、検索して出てくる数字の多くは、今のゲームとは別のバージョンのものです。 そして当サイトは、型番から数値を自動生成する推定サイトを判定に使わない方針を取っています。 出どころをたどれない数字は、正しいかどうかを誰にも確かめられないからです。
もうひとつ、気になっていたことがあります。 最適化されたと聞いても、それがどの程度のものなのかは、遊ぶ側からは分かりません。 軽くなったと言われて買い替えを見送るか、やはり足りないと判断して買い替えるかは、そこで変わります。
手元に8年前の構成のPCがあります。 低スペックと呼ばれる側から見て、今のワイルズがどうなっているのかは、測れば分かります。
ゲーム側は、解像度1920x1080、画質プリセット「ウルトラ」、アップスケーリングはDLSSの「クオリティ」、レイトレーシングはオフ、垂直同期はオフ、フレームレート上限は解除しました。 フレーム生成はオフです。 表示上のfpsを増やす機能ですが、操作の反応速度は素のfpsのままなので、当サイトは判定に混ぜません。
計測ツールはCapFrameXで、実際にプレイしながら60秒ずつ記録しています。 砂原をセクレトで移動する区間を3回、大型モンスターとの戦闘を3回。 そのあと設定を変えながら、同じ移動ルートでさらに7回記録しました。
| 場面 | 平均fps | 1% low | 0.1% low |
|---|---|---|---|
| 移動(1回目) | 44.9 | 29.8 | 26.8 |
| 移動(2回目) | 40.5 | 30.8 | 25.5 |
| 移動(3回目) | 43.0 | 29.7 | 27.4 |
| 戦闘(1回目) | 43.5 | 34.1 | 28.6 |
| 戦闘(2回目) | 43.7 | 34.7 | 30.7 |
| 戦闘(3回目) | 43.0 | 34.3 | 27.3 |
| 6回の平均 | 43.1 | 32.2 | 27.7 |
60fpsには届きません。 ただ、遊べないほど荒れているかというと、そうでもありませんでした。 1% low(特に遅かった1%のフレームがどのくらいだったかを示す値で、体感のカクつきに近いとされています)は32.2で、平均の75%を保っています。 この比率は、同じPCで測ったシージXと同じ水準です。 ガクガクするのではなく、一貫して43fps、という状態です。
表を見ると、戦闘のほうが移動より1% lowが良く出ています。 モンスターが暴れている場面のほうが安定している、というのは妙な話です。
プレイした感触では、理由は場面の種類ではなく場所でした。 砂漠を走っているあいだはオブジェクトが少なく、フレームレートは安定しています。 一方、キャンプ地の周辺はオブジェクトも環境生物も多く、はっきり重くなります。 移動の3回にはこのキャンプ周辺が含まれていて、戦闘の3回は見晴らしのよい砂漠で行いました。 数字の差は、それを反映しているようです。
モンスターとの戦闘そのものより、物が多い場所のほうが重い。 1台の計測なので断定はしませんが、覚えておくと設定を詰めるときの手がかりになります。
→ 遊びたいゲームから、必要なPCを逆算する43fpsなら、画質を一段落とせば60fpsに近づくはずです。 プリセットを「ウルトラ」から「高」へ変えて、同じルートで測り直しました。 場所によって重さが変わるので、ここからは移動ルートだけで比べています。
| 設定 | 平均fps | 1% low |
|---|---|---|
| ウルトラ + DLSSクオリティ(移動3回) | 42.8 | 30.1 |
| 高 + DLSSクオリティ(移動2回) | 44.5 | 30.8 |
1.7fpsです。 プリセットの変更で、メッシュ品質もテクスチャフィルタリングも一段下がっているのですが、フレームレートはほとんど動きませんでした。 このゲームでは、画質プリセットを下げても軽くなりません。
画質が効かないなら、残るのは描画そのものの量です。 DLSSは、内部で低い解像度で描いてから引き伸ばす仕組みで、モードによって内部の解像度が変わります。 フルHD出力の場合、クオリティなら1280x720、パフォーマンスなら960x540、ウルトラパフォーマンスなら640x360で描かれます。
| 設定 | 内部の描画解像度 | 平均fps | 1% low |
|---|---|---|---|
| 高 + クオリティ | 1280x720 | 44.5 | 30.8 |
| 高 + パフォーマンス | 960x540 | 52.4 | 36.7 |
| 高 + ウルトラパフォーマンス | 640x360 | 60.1 | 43.9 |
こちらは素直に効きました。 パフォーマンスで+18%、ウルトラパフォーマンスでついに60fpsに乗ります。
ただし、ウルトラパフォーマンスは1920x1080の画面に640x360の絵を引き伸ばす設定です。 本来は4K出力で使うために用意されたもので、フルHDで常用する画質ではありません。 数字の上では60fpsに届きますが、実用的な画質のまま60fpsを出す方法は見つかりませんでした。
なぜ画質を下げても効かず、解像度を下げると効くのか。 使用率を見ると形が分かります。
| 設定 | GPU使用率 | CPU使用率 | VRAM使用量 |
|---|---|---|---|
| ウルトラ + クオリティ | 97% | 50% | 6.1GB |
| 高 + パフォーマンス | 97% | 51% | 5.3GB |
| 高 + ウルトラパフォーマンス | 97% | 62% | 5.1GB |
どの設定でもGPUは97%です。 内部解像度を640x360まで削っても、グラフィックカードは限界まで働き続けています。 CPUには余裕があり、VRAMも8GBのうち5〜6GBで収まっていました。 発売当時に言われた「VRAMが足りない」という話は、少なくとも今のバージョンとこの設定では起きていません。
この形は、前回この同じPCで測っためっちゃカメレオンとは正反対です。 あちらはGPUもCPUも余っているのにフレームが揺れていました。 ワイルズは限界まで使い切ったうえで重い。 つまり、グラフィックカードを上げれば素直に伸びるタイプです。 この構成で60fpsに届かないのは、設定の詰め方の問題ではありませんでした。
判定が済んでいるタイトルであれば、遊びたいゲームと目標fpsから必要な構成を逆算できます。 ワイルズについては、当サイトとしての判定はまだ出していません。
では、どのグラフィックカードなら60fpsに届くのか。 手元にあるのは8年前のPC1台なので、当サイトとしての判定はまだ出せません。 ただ、他所の計測なら手がかりになります。
下はドイツのComputerBaseが23枚のグラフィックカードを同じ条件で測った記録です。 2025年3月の計測なので、最適化アップデートの前の数字です。 解像度もWQHD(2560x1440)で、この記事のフルHDより重い条件になります。
| GPU | 平均fps | 1% low |
|---|---|---|
| RTX 5080 | 82.2 | 65.2 |
| RX 7900 XT | 73.0 | 54.9 |
| RTX 5070 | 63.4 | 49.0 |
| RTX 4070 | 53.8 | 41.5 |
| RX 7700 XT | 48.8 | 36.6 |
| RTX 4060 | 35.8 | 26.2 |
| RTX 3060 Ti | 35.5 | 25.9 |
| RX 7600 | 23.3 | 14.5 |
出典: ComputerBase「Monster Hunter Wilds im Benchmark-Test」(2025年3月31日・Ryzen 7 9800X3D・ウルトラ設定・レイトレなし・DLSS/FSR クオリティ・森のテント付近を20秒計測)。当サイトの判定ではなく、他所の計測結果の引用です。
この表は二重に低めに出た数字として読んでください。 パッチ前の計測なので今のバージョンならこれ以上出るはずですし、WQHDの数字なのでフルHDならさらに上がります。
そのうえで言えることは、RTX 5070クラス以上なら、フルHDで60fpsはまず問題ないということです。 重い条件で測った古い数字ですら63.4fpsに届いているからです。 RTX 4070クラスは53.8fpsで、フルHDなら60fpsを超えると考えられますが、そう言い切れる実測は見つかりませんでした。
もうひとつ、買うときに効く数字があります。 このゲームは同じ型番でも、VRAMが8GBか16GBかで別物でした。
| GPU | VRAM | 平均fps | 1% low |
|---|---|---|---|
| RTX 5060 Ti | 16GB | 61.5 | 50.1 |
| RTX 5060 Ti | 8GB | 54.5 | 37.0 |
| RX 9060 XT | 16GB | 64.1 | 40.3 |
| RX 9060 XT | 8GB | 55.6 | 34.9 |
出典: ComputerBase のRTX 5060 Ti 8GB版レビューとRX 9060 XT 8GB版レビュー(WQHD・高設定・レイトレなし・超解像パフォーマンス・Ryzen 7 9800X3D)。当サイトの判定ではなく、他所の計測結果の引用です。
平均で7fps、カクつきの指標では13fpsの差がつきます。 同じ「RTX 5060 Ti」という名前で売られていて、この違いです。
さらに画質を上げると差は広がります。 TechSpotがウルトラ設定で測ったとき、RX 9060 XT の8GB版は1% lowが1〜2fpsまで落ちています。 一瞬止まる、という水準です。
この記事の計測ではVRAMは5〜6GBで収まっていましたが、それはフルHDで、しかも最適化後だからです。 解像度や画質を上げれば必要量は増えます。 これから買うなら、同じ型番でも16GB版を選ぶ理由があります。
最適化アップデートのあとに複数のグラフィックカードを同じ条件で並べた計測は、専門メディアを探しても見つかりませんでした。 RTX 2070世代にいたっては、パッチ後の記録が一件もありません。 この記事の数字が、その空白に置かれた一件目ということになります。
先に断っておくと、この記事はパッチの前後を比べていません。 測ったのは最終アップデート後のバージョンだけで、旧バージョンには戻れないからです。 どれだけ軽くなったかは、ここでは答えられません。
ただ、今のバージョンが健全かどうかなら、ここまでの数字がそのまま答えになります。 フレームの出方は安定していて(1% lowが平均の75%=同じPCで測ったシージXと同じ比率)、 「平均は出ているのに体感がガタつく」という壊れ方をしていません。 §7のとおりグラフィックカードは性能を余らせず使い切り、VRAMも8GBに収まっていました。
重いことと、壊れていることは別です。 今のワイルズは、8年前のグラフィックカードを限界まで使い切ったうえで43fps、という状態でした。 最適化という点では、素直な仕上がりだと思います。
最初に測ったとき、裏でいくつかアプリを開いたままにしていました。 そのときのウルトラパフォーマンスは51.4fpsで、解像度を下げたのに前の設定より遅いという結果でした。 GPU使用率は87%に落ち、代わりにCPUが98.7%まで上がっていました。 CPUが天井になった、と読めます。
アプリを全部閉じて測り直したら、同じ設定で60.1fpsでした。 GPU使用率も97%に戻っています。 天井はCPUではなく、裏で動いていたアプリだったわけです。
以前この同じPCで、裏のアプリがどれだけfpsを削るかを測ったことがあります。 そのときは平均で約3%でした。 ただ、あれはGPUが限界に張り付いた条件での値です。 今回のようにCPU側の余裕が無くなる条件だと、損失は17%まで広がりました。 裏のアプリの影響は、条件によって桁が変わります。
同じ条件で往復した2回が、54.6fpsと50.1fpsでした。 このルートには4〜5fpsのばらつきがあります。 ウルトラパフォーマンスの60.1fpsは1回だけの計測なので、「ちょうど60fps出る」と言い切れる精度ではありません。
また、これは1台のPCの記録です。 どの構成なら快適に遊べるのかは、性能帯の違う複数のPCで測らないと出せません。 別構成での計測が済み次第、この記事に追記します。
計測の数字は冒頭の結論カードと§3〜§7にまとめてあります。 ここでは買い替えの判断に効くことだけを絞ります。
モンハンワイルズ自体の必要構成は、この記事の時点ではまだ出せません。 「この構成なら足ります」と言うには、性能帯の違う複数のPCで測る必要があるためです。
すでに判定が済んでいるタイトルであれば、遊びたいゲームと目標fps、解像度を選ぶだけで、必要な構成と実売のBTOまで逆算できます。 シージXやApex Legends、GTA5、FF14など16タイトルに対応しています。
→ 遊びたいゲームから、必要なPCを逆算する